2021年03月20日
GPU とは Graphics Processing Unit の略で、今どきの PC における画像処理には欠かせない構成要素です。
今回は GPU について、簡単にご紹介します。
当初 PC には GPU は搭載されておらず、表示する画像データに関する処理は主に CPU が行っていました。
しかし、単純な 2D の画像ならば CPU で処理を行ってもそれ程負担にはならなかったのですが、圧縮された動画の再生や、3D 画像のリアルタイム生成といった、手順は決まっているが大量のデータを短時間で処理する必要のある作業には、CPU のアーキテクチャは最適ではなく負担が大きくなりました。
そういった状況を打開するため、多数のデータを並列化して処理できるように GPU が開発されました。
現在 GPU には外付けタイプと CPU 内蔵タイプがあります。
現状外付けタイプの GPU としてお店に並んでいる製品は、ほとんどが GeForce(ジーフォース)と Radeon(レイディオン:日本ではラデオンと読む場合もあり)の2種類になります。
GeForce は NVIDIA(エヌヴィディア)が開発している GPU で、RTX3000/2000, GTX1600 の3シリーズがあります。
NVIDIA は「GPU」という名称を最初に用いた会社です。
GTX に対して RTX はレイトレーシング(光線追跡:光の通り道を辿って、物体の見え方を決定する方法)用の回路を追加しており、レイトレーシングのリアルタイム処理を可能としています。
また、GPGPU(General-purpose GPU)としても利用され、画像処理以外の科学計算等に用いられています。
Radeon は AMD が開発している GPU で、現行モデルは RX6000 シリーズとなります。
GeForce に先を行かれるも、最近になって同等か上回っていると言われるようになりました。(以前は性能は高いが、発熱(消費電力)も高いと言われていましたが、それも同等程度になっています)
レイトレーシング処理もできますし、GPGPU としての利用も可能です。
また、多くのメーカー製 PC で採用されていて、意識せずに使っている事も多そうです。
GPU には CPU に内蔵されたものもあります。
GPU の有無での価格差は数千円程度なので、3D バリバリのゲームや VR などを想定しないのならば、かなりコストを抑えられます。(デスクトップなら、必要になった時点で後からビデオカードを追加できますし)
先日発表された Intel の第11世代 Core i 9/7/5 には UHD Graphics 750 と名付けられた GPU が内蔵されているモデルがラインナップされています。
また、同時に発表された新しい第10世代 Core i 3/Pentium G には従来の UHD Graphics 630 が内蔵されています。
一方、AMD の Ryzen にも Radeon Graphics を内蔵したモデルはあります。
しかし、ほとんど取り扱いのあるお店がないので、CPU に Ryzen を選ぶと、ビデオカードも別に用意する事になりそうです。
Athlon なら内蔵品が入手できますが、後からパワーアップしようとしても諸々のバランスを考えると、メインのパーツは交換する事になると思うので、あまり効率的とは言えません。
Apple の M1 も GPU を内蔵しています。
Intel Mac の時代は Radeon を搭載したモデルもありましたが、今後は外付け GPU なしモデルがメインになるでしょう。(Mac Pro 向けはどうなるか判りませんが)
従来 PC で行っていた事はスマートフォンやタブレットがほとんどできるようになり、あえて PC を使うのはグラフィック性能をそれなりに必要としている場合な気がします。
そんな時にこのコラムが何かの一助になれば幸いです。