都会であっても、お月様は健在!風流なお月見は、初秋を代表する習わしです。
中秋の名月とは、旧暦8月15日の夜に見える月のこと。お月見文化もまた、平安時代に中国から伝わったといわれています。今年の中秋の名月は9月21日(火)で、満月です。
"満月です"とわざわざ記したのは、年によって中秋の名月=満月とは限らないためです。月は地球の周りを楕円形に回っている関係で、年によってまだ満ちていない(欠けている)月になることがあります。
それでも十分美しいのは、秋になると大陸で発生した高気圧が乾燥した空気を運び、クリアに見通すことができるからです。
さて、お月見といえばお供え物。先ほど紹介した秋の七草から、ススキの登場です。ススキは背が高く、神様が宿る神聖なものと捉えられていると同時に、その形が稲穂に似ていますよね。しかし稲穂が実る時期とは少々ずれるため、その代わりとしてススキの出番になったといわれています。さらに、お花屋さんにススキ以外の七草、たとえば女郎花や萩の花が並んでいたら、それらも飾ると華やぎますよ。
そして、外せないのが月見団子。丸い団子で満月を表現しているといわれています。もし自家製するとしたら、お湯に上新粉を溶いて混ぜ、丸めた状態で蒸しあげるシンプルな調理法で構いません。お供えする段階では味がついておらず、お月見が終わってさあ食べようとなったときに、平らにして醤油を塗って焼いたりするのがよいでしょう。
また、中秋の名月は、秋の収穫を祝う意味も合わさって"芋名月(いもめいげつ)"と呼ばれることもあります。
ここでいう芋とは、里芋です。里芋をそのまま水炊きして、月見団子と並べて月にお供えしていました。皮を包丁で剥かずにそのまま茹でる、もしくは蒸して、食べる時に皮をツルリと向いて、塩を振って食べる...いわゆる「きぬかつぎ」という料理です。
シンプルで素朴ですがとても美味しく、お酒のおつまみとしてもピッタリです。
ちなみに、中秋の名月から約1か月後の満月の2日前、いわゆる「十三夜」を「栗名月(くりめいげつ)」「豆名月(まめめいげつ)」と呼ぶ地方もあり、その日は食べ頃を迎えた栗や大豆料理が食卓に並びます。今年の栗名月は10月18日(月)です。
自宅でできる季節感の演出として、ぜひ今年はお月見を取り入れてみませんか?