"日本一美しい本棚"と呼ばれる書架を眺めてみたいなら、東京都文京区にある東洋文庫ミュージアムがおすすめです。
東洋学とは、古代オリエントや中国、インドなどの歴史や文化などを研究する学問のこと。1924年に設立された東洋文庫は、これまで東洋学に関する様々な文献・資料を収集してきました。その蔵書の数は、約100年間でなんと100万冊。東洋学に関しては、世界で5本の指に入る規模を誇ります。
"研究図書館"という性質上、主な利用者は学者に限られていましたが、より広く東洋学の面白さを知ってもらう目的で、2011年にミュージアムとして開館。一般開放されました。
書籍の面白さもさることながら、このミュージアムの大きな魅力は"本にまつわる空間"そのものを楽しめること。最大の目玉は"日本一美しい本棚"と呼ばれる「モリソン書庫」です。1917年、東洋文庫の創設者、岩崎久彌が、G. E. モリソン博士から約2万4千点の書籍や絵画等を購入。きちんと管理されるべき貴重なコレクションのため実際に書物に触れることはできませんが、童話のように美しい本棚は一見の価値があります。
その他、貴重な古書が並び東洋文庫のこれまでの歩みがわかる映像が上映されているオリエントホールをはじめ、展示物保護のため照明を極限まで落とした「回顧の道」、浮世絵の名品が展示されている「岩崎文庫」、〝発見〟をテーマにした書物が並ぶディスカバリールーム、東洋文庫と小岩井農場が共同でプロデュースする洋風レストラン「オリエント・カフェ」など、見どころが盛りだくさん。
ミュージアムのある本館建物とレストランとをつなぐ中庭には、シーボルトの『日本植物誌』に掲載されている実物の木々や花が植えられています。
現在、ミュージアム開館10周年を記念して、東洋文庫名品展~「東洋学」の世界へようこそ~を2022年1月16日(日)を開催中。マルコ・ポーロの『東方見聞録』や杉田玄白の『解体新書』など「教科書で見たことある!」と感じる名品の数々が公開されています。
数ある所蔵品のうち最古の『甲骨卜辞片』も必見。紀元前14~11世紀頃、動物の骨などに占いたい内容を文字で刻み、加熱してできたヒビで占った甲骨の実物が公開されています。
読書好きな方はもちろん、日本一美しいといわれる本棚や、歴史的価値の高い逸品を眺めてみたい方も、ぜひ足を運んでみてはいかがですか?隣には六義園が広がっているので、紅葉狩り散歩も併せてお楽しみください。