次は、近年見かけるようになった春の"新顔"というべき食材をご紹介しましょう。
まずはスティックセニョール。その名前から欧米原産の野菜かと思いきや、種苗メーカーとしておなじみの「サカタのタネ」が研究開発を重ねて誕生した品種です。ブロッコリーと、中国野菜の芥藍(かいらん)を掛け合わせて生まれました。
しかし、当初はブロッコリーニという名前で売り出されたものの、普及には至りませんでした。その後、海を渡って欧米でブレイク。そのヒットを受けて再び日本でも人気が高まりつつあります。
通常のブロッコリーは、花蕾の部分をメインに食べます。茎の部分を食べるとしたら、硬い緑の皮を削いでしっかり茹でると思います。しかしスティックセニョールは、花蕾がブロッコリーよりもボリューミーではないものの、茎が柔らかいためそのまま茹でたとしても適度な歯ごたえ。なおかつ、ほのかな甘みも備わっています。いわばブロッコリーとアスパラガスの"良いとこどり"といえる野菜です。
茎が細いため皮を削ぐ必要もなく、沸騰したお湯に塩を入れて1~2分茹でればOK。茎が長いものの場合は2つに切り分け、火が通りやすい花蕾の部分は早めに取り出すのがコツです。美味しくて調理がかんたんでありつつ、火を通すと緑色が鮮やかになるため、サラダや炒め物、パスタなど、いろいろな料理にも映えます!
もうひとつご紹介したいのは、春のウキウキ気分を演出するエディブルフラワーです。今ではネット通販でも入手することができます。
簡単に言うと"食用花"。日本だと、春の味覚として普及した菜の花や、実は花の部分を食べているフキノトウ、さらに食用菊や桜の塩漬けなどがおなじみですが、近年ではビオラ、キンギョソウ、バラなど鮮やかな色合いの花びらを持つものが増えてきました。
花ゆえに、多くのエディブルフラワーには甘い香りが備わっています。よって、ケーキやプディング、ゼリーなど、スイーツとの相性が抜群。市販のケーキに少し乗せるだけでお皿が一気に華やぎ、春らしさを演出することができます。また、サラダやパスタ、肉料理の付け合わせなどにもおすすめです。
生の状態で売られているものもありますが、ドライタイプでも花びらを押し花のように形をしっかりキープさせているものもあり、保存も効くので便利です。一点、注意したいのは、食用されている品種であっても観賞用で売られている場合は農薬や延命剤などが用いられているケースがあるため、食べてはダメです。必ず食用かどうかを確認してから購入しましょう。